未解決問題、算術と数論, 確率と統計、1909年に提起
π の正規性
未解決
は 進法において(あるいはすべての整数基数 において)正規数であるか――すなわち、 の 進展開において、長さ の任意の有限数字列が漸近的極限頻度 で現れるか。
2026年現在、 の正規性はすべての基数 において完全に未解決である。 桁を超える の10進展開の計算でも、短い数字列の頻度が一様頻度 から統計的に有意にずれる兆候は見られず、ベイリー–クランドール(2001年)の枠組みはBBP型定数の 進正規性を摂動された倍角写像 の一様分布へと帰着させている。ベイリーとクランドールは分母が間隙的に増大する のような明示的なストーンハム型定数については正規性の証明に成功したが、 のBBP級数における1次の分母多項式 にはワイルの指数和を無条件に評価するのに必要な間隙性が欠けている。
既知の最良の結果
- ボレル(1909年):すべての整数基数 において正規とならない実数の集合のルベーグ測度は である。
- ベイリーとクランドール(2001年): とする数列 が で一様分布するならば、 は 進法および 進法で正規である。
使われた手法と限界
| 手法 | 達成したこと | 限界 |
|---|---|---|
| BBP桁抽出公式とワイルの一様分布(ベイリー–クランドール) | の 進正規性を明示的な1次元漸化式の一様分布へと翻訳し、間隙的なBBP型定数の正規性を証明する | の場合、摂動項 が間隙的でないため、ワイル和を平均化する前に反復べき が誤差を増幅させてしまう |
| 数兆桁規模の計算と統計的ランダム性検定 | の 桁を超える10進および16進数字にわたって、数字および短いブロックの経験的一様分布を確認する | 正規性は における漸近的性質であり、いかなる有限桁の接頭辞も正規性と非正規性の両方と両立し得る |
未解決の問い
- の10進展開において、 のすべての数字が無限回現れるか。
- に対応するBBP漸化式に対して、ベイリー–クランドールの一様分布仮説は成り立つか。
参考文献
- Émile Borel (1909). Les probabilités dénombrables et leurs applications arithmétiques · DOI:10.1007/BF03019651
- David H. Bailey, Peter B. Borwein, Simon Plouffe (1997). On the rapid computation of various polylogarithmic constants · DOI:10.1090/S0025-5718-97-00856-9
- David H. Bailey, Richard E. Crandall (2001). On the random character of fundamental constant expansions · DOI:10.1080/10586458.2001.10504441
- Yann Bugeaud (2012). Distribution Modulo One and Diophantine Approximation · DOI:10.1017/CBO9781139017732