定理証明済み
指数持ち上げ補題
内容
p を奇素数とし、a,b を p∣a−b かつ p∤a、p∤b を満たす整数とする。このとき、すべての正整数 n について:vp(an−bn)=vp(a−b)+vp(n)。
なぜ正しいのか?
LTEは高次のべきの差の整除性という難しい問題を、付値に関する単純な算術に変える。これは、an−bn のような式を割り切る素数の最大冪を求めたり、そのような式がある素数冪で決して(あるいは常に)割り切れないことを証明したりするオリンピック問題を解く最も速い方法の一つである。
証明の概略
**ステップ1:乗法性により n=p の場合に帰着させる。** n=pvp(n)⋅m(p∤m)と書く。a,b の代わりに am,bm に対して n=p の場合(以下で証明)を繰り返し適用すると、vp(an−bn)=vp((am)pvp(n)−(bm)pvp(n))=vp(am−bm)+vp(n) が分かる。よって、p∤m のとき vp(am−bm)=vp(a−b) を示し、かつ基底段階 vp(ap−bp)=vp(a−b)+1 を示せば十分である。
ステップ2:因数分解を用いて基底段階を示す。 ap−bp=(a−b)(ap−1+ap−2b+⋯+bp−1) と分解する。第2因数 S=∑j=0p−1ap−1−jbj が vp(S)=1 であることを示さねばならない。
**ステップ3:p∣S を示す。** p∣a−b より a≡b(modp) なので、各項 ap−1−jbj≡bp−1−jbj=bp−1(modp)。p 個すべての項を足すと S≡p⋅bp−1≡0(modp)(p∤b を用いる)、よって p∣S。
**ステップ4:p2∤S を示す。** 整数 t を用いて a=b+pt と書く(p∣a−b より可能)。各項を展開すると ap−1−jbj=(b+pt)p−1−jbj≡bp−1−jbj+(p−1−j)ptbp−2−jbj(modp2)(二項展開、p2 以上の項を落とす)。j=0,…,p−1 にわたって足すと、先頭項は前と同様 pbp−1 に和し、補正項は ptbp−2∑j=0p−1(p−1−j)=ptbp−2⋅2p(p−1) に和し、これは p2 で割り切れる(p が奇数なので 2p−1 は整数であり、この補正は p2⋅(integer) となり ≡0(modp2))。よって S≡pbp−1(modp2) であり、p∤b なので pbp−1 は p で割り切れるが p2 では割り切れず、vp(S)=1 が得られる。
ステップ5:結合する。 ステップ2–4より vp(ap−bp)=vp(a−b)+vp(S)=vp(a−b)+1。ステップ1の帰着(p∤m のとき vp(am−bm)=vp(a−b) であること、このときは S≡mbm−1≡0(modp) となるので同様に証明できる)と合わせ、vp(n) に関する帰納法により、すべての正整数 n について vp(an−bn)=vp(a−b)+vp(n) が得られる。
ステップごとの証明
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