行列式は線形写像が体積をどれだけ拡大縮小するかを測るものなので、まず写像 B を適用し、その後写像 A を適用すると、体積は B の倍率で、続いて A の倍率でスケールされるはずである、すなわち 2 つの倍率の積になるはずである——乗法性とは、線形写像を合成すると、それらの体積スケーリング係数も合成されるという事実の代数的な表現にすぎない。
証明の概略
まず、3 つの基本行操作が行列式に与える影響を振り返る(これはライプニッツの和 det(A)=∑σ∈Snsgn(σ)∏i=1nai,σ(i) から直接確立される。この和の各項は各行について別々に線形だからである):2 つの行を入れ替えると det に −1 を掛け、1 つの行を k 倍すると det に k を掛け、1 つの行の何倍かを別の行に加えても det は変化しない。
A に対する各基本行操作は、A に対応する基本行列 E を左から掛けることと同じである(単位行列 I に同じ操作を適用して得られる)。前段落と比較すると、det(E) はちょうどその操作のスケーリング係数(−1、k、または 1)に等しいので、すべての基本行列 E について det(EA)=det(E)det(A) が成り立つ。
A が特異な場合:このとき det(A)=0 である(特異行列は単位行列まで完全には変形できず、上記の行操作の規則から、到達可能な行階段形には常に零行が残ることが分かり、その行に沿った余因子展開により det=0 が強制される)。特異であることは rank(A)<n を意味し、任意の B に対して rank(AB)≤rank(A)<n であるから、積 AB も特異であり、したがって det(AB)=0 となる。よって det(AB)=0=0⋅det(B)=det(A)det(B) となり、この場合も等式は成り立ち、すべての A について証明が完成する。