未解決問題、算術と数論, 解析学、1968年に提起
エリオット–ハルバースタム予想
未解決
任意の と任意の に対し、算術級数の素数定理における誤差項 は、すべての について を満たす。
2026年時点で、各法 ごとにすべての互いに素な剰余類 にわたる最大値をとる本来のエリオット–ハルバースタム予想は、いかなる に対しても未解決であり、無条件の到達点は依然としてボンビエリ–ヴィノグラードフの定理()にとどまっている。しかし剰余類 の最大値をとるのではなく固定(あるいは滑らかに重み付け)する場合には、分布レベルは を大きく超えて進展している:ボンビエリ–フリードランダー–イヴァニエッツ(1986年)、チャン(2013年)、Polymath8a(2014年、滑らかな法に対して )に続き、メイナード(2020年)らの研究によって固定剰余類に対する指数は を超える領域にまで押し上げられている。
既知の最良の結果
- にわたる完全な最大値に対しては、すべての で無条件に成り立つ(ボンビエリ–ヴィノグラードフの定理、1965年)。
- 固定された剰余類 と 上の滑らかまたは分解可能な重みに対しては、分布レベルは無条件に を超える(ボンビエリ–フリードランダー–イヴァニエッツ 1986年、チャン 2013年、Polymath8a 2014年、メイナード 2020年)。
- エリオット–ハルバースタム予想を仮定すれば (メイナード、2013年)、一般化エリオット–ハルバースタム予想を仮定すれば (Polymath8b、2014年)となる。
使われた手法と限界
| 手法 | 達成したこと | 限界 |
|---|---|---|
| 大篩法不等式とヴォーンの恒等式 | 素数の指示関数を I 型および II 型の双線形和に分解し、原始ディリクレ指標にわたる平均を評価することでボンビエリ–ヴィノグラードフの定理()を証明した。 | 大篩法は異なる剰余類 間の相殺を利用せずに指標和の ノルムを評価するため、 において平方根の壁に突き当たる。 |
| 分散法とクローステルマン和の評価(ドリーニュ、デシュイエ–イヴァニエッツ) | ポアソン和公式とヴェイユ/ドリーニュの代数幾何的評価や保型形式のスペクトル理論を適用し、 が固定されている場合に分布レベルを の先へと押し上げた。 | 剰余類 が ごとに任意に変動する場合、最大値 をとることでポアソン和公式に必要な への滑らかな依存性が失われてしまう。 |
未解決の問い
- 和の内部に を含む本来のエリオット–ハルバースタムの評価が、無条件に成り立つような は存在するか。
- 固定された剰余類 に対して、素数の分布レベルがすべての に達することを無条件に証明できるか。
参考文献
- Enrico Bombieri (1965). On the large sieve and its applications · DOI:10.1112/S0025579300005313
- Peter D. T. A. Elliott, Heini Halberstam (1970). A conjecture in prime number theory
- Enrico Bombieri, John B. Friedlander, Henryk Iwaniec (1986). Primes in arithmetic progressions to large moduli · DOI:10.1007/BF02392590
- John B. Friedlander, Andrew Granville (1989). Limitations to the equi-distribution of primes I · DOI:10.2307/1971450