証明の概略
ステップ1 — 被覆写像を設定する。p:R→S1 を p(t)=(cos2πt,sin2πt) とする。これは連続な全射であり、S1 の各点は均等被覆近傍を持つ(p による小さな弧の原像は R 内の互いに素な開区間の和集合であり、各区間はその弧に同相に写る)。基点を 1=p(0)∈S1 に固定する。
ステップ2 — 道の持ち上げ。γ(0)=γ(1)=1 を満たす任意のループ γ:[0,1]→S1 に対し、p∘γ~=γ かつ γ~(0)=0 を満たす連続な持ち上げ γ~:[0,1]→R が一意に存在する([0,1] を、γ が1つの均等被覆近傍に収まる有限個の小区間で覆い、一片ずつ持ち上げ、その都度直前の終点から続く p−1 の枝を選ぶことで構成する)。deg(γ)=γ~(1)∈Z と定義する(p(γ~(1))=γ(1)=1=p(0) より γ~(1)∈Z が強制されるので整数である)。
ステップ3 — ホモトピー不変性。γ≃pγ′ がホモトピー H によるとき、ホモトピー持ち上げ性質(道の持ち上げと同じ方法、一帯ずつで証明される)により、H~(s,0)=γ~(s) を満たす連続な持ち上げ H~ が得られ、H~(0,t)=0 がすべての t で成り立つ(定数基点ループを持ち上げているので定数)。すると t↦H~(1,t) は t の連続な整数値関数であり(ステップ2と同じ議論により)、したがって定数である。よって deg(γ)=H~(1,0)=H~(1,1)=deg(γ′)。したがって deg はホモトピー類 [γ]↦deg(γ) の上でwell-definedである。
ステップ4 — 準同型性。ループ γ,δ に対し、γ∗δ の持ち上げを、まず γ を deg(γ) で終わるように持ち上げ、続けて δ を deg(γ) から始まるように持ち上げる(δ の持ち上げの平行移動であり、p が整数平行移動で不変なので妥当)ことで、deg(γ∗δ)=deg(γ)+deg(δ) が示される。よって [γ]↦deg(γ) は群準同型 π1(S1,1)→Z である。
ステップ5 — 全単射性。全射性:任意の n∈Z について γn(s)=p(ns) は deg(γn)=n を満たすループである。単射性:deg(γ)=0 ならば、持ち上げ γ~ は 0 を基点とする R 内のループである(γ~(1)=0=γ~(0) なので)。R は凸なので直線ホモトピー H~(s,t)=(1−t)γ~(s) は端点を固定したまま γ~ を 0 での定数道に縮め、p と合成すると γ から定数ループへの道ホモトピーが得られるので、[γ] は自明である。したがって deg は全単射準同型、すなわち同型 π1(S1,1)≅Z である。