証明の概略
ホップ・リノウの定理により、M が完備であるから任意の2点は最小測地線で結ばれる。背理法のため、ある単位速度の最小測地線 γ:[0,L]→M の長さが L>π/k であると仮定する。
γ は長さを最小化するので、両端点で消える γ に沿った任意の区分的に滑らかなベクトル場 V に対して第二変分(指数形式)が I(V,V)≥0 を満たす。ここで I(V,V)=∫0L(∣V′∣2−⟨R(V,γ′)γ′,V⟩)dt である。γ に沿った平行正規直交枠 E1,…,En−1(γ′ と常に直交)を選び、i=1,…,n−1 に対して場 Vi(t)=sin(πt/L)Ei(t) でテストする。
Ei は平行であるから Vi′=Lπcos(πt/L)Ei であり、I(Vi,Vi)=∫0L[(Lπ)2cos2(πt/L)−sin2(πt/L)⟨R(Ei,γ′)γ′,Ei⟩]dt となる。i について和を取り ∑i⟨R(Ei,γ′)γ′,Ei⟩=Ric(γ′,γ′)≥(n−1)k を用いると ∑iI(Vi,Vi)≤(n−1)∫0L[(Lπ)2cos2(πt/L)−ksin2(πt/L)]dt が得られる。
∫0Lcos2(πt/L)dt=∫0Lsin2(πt/L)dt=L/2 であるから、右辺は (n−1)⋅2L[(Lπ)2−k] に等しく、L>π/k のとき常に厳密に負である。よってある I(Vi,Vi)<0 となり、γ が長さを最小化することに矛盾する。したがってすべての最小測地線は L≤π/k を満たし、diam(M)≤kπ が成り立つ。ホップ・リノウにより、有限直径を持つ完備多様体はコンパクトであり、同じ議論を(同じリッチ曲率の下限を受け継ぐ)普遍被覆に適用すればそれもコンパクトであることが示され、π1(M) は有限となる。