解法: 体の拡大によるヴァンツェルの代数的不可能性証明(1837年)
ステップ 4/7: 「60∘ を三等分する」を三次方程式に変える ざっくり言うとある角とその3倍の角を結ぶ近道がある:コサインの三倍角の公式である。θ=20∘ とおくと 3θ=60∘ というよく知られたきれいな角になり、『20∘ を作図できるか』という幾何学的な問いが『この特定の数はこの特定の三次方程式の根か』という純粋に代数的な問いに変わる。
これこそヴァンツェルが必要とした橋である:等号の片側に幾何学、もう片側に整数係数の方程式が並ぶ。
詳しい解説角 θ が作図可能であるのは、まさに長さ cosθ が作図可能であるときである。角 θ にある単位円上の点から x 軸に垂線を下ろすと線分 cosθ が得られ、逆に cosθ から垂線を立てれば θ が復元されるからである。θ=20∘ とおくと、60∘ の三等分が可能であるのは、まさに 20∘、すなわち cos20∘ が作図可能であるときである。
三倍角の公式 cos3θ=4cos3θ−3cosθ を θ=20∘ に適用すると 4cos3(20∘)−3cos(20∘)=cos(60∘)=21 となる。両辺に 2 を掛け、x=2cos(20∘)(したがって cos20∘=x/2)と置換すると、これは 8(x/2)3−6(x/2)=1、すなわち x3−3x−1=0 になる。零でない有理数 2 による乗除は作図可能性を変えないので、cos20∘ が作図可能であることと x=2cos20∘ が作図可能であることは同値である。
こうして幾何学の問題全体が、整数係数の三次式 P(x)=x3−3x−1 に関する1つの代数的な問い——その根 x=2cos20∘ は作図可能か——に帰着された。次のステップでは P の Q 上の次数を計算してこれに答える。
このステップの用語- 三倍角の公式
- 角の3倍のコサインを、その角自身のコサインで表す三角関数の恒等式 cos3θ=4cos3θ−3cosθ。
このステップで使う知識