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解法: メイナードの多次元篩法:素数の間の有界なギャップ(2013年)

ステップ 5/8: たった一つの数 MkM_k がすべてを決める:変分問題
ざっくり言うと

S2S_2 が概ね ∑mJk(m)(F)\sum_m J_k^{(m)}(F) に、S1S_1 が概ね Ik(F)I_k(F) に比例するので、両者の比——すべての妥当な FF の選択にわたって最大化したもの——が、n+h1,…,n+hkn+h_1,\dots,n+h_k の中でいくつの素数を強制的に出現させられるかを決める唯一の数となる。この最良の比を MkM_k と呼ぶ。

MkM_k が大きいほど、Maynard の方法はサイズ kk の有界な窓の中でより多くの素数を保証できる。ここから先はすべて、適切な kk に対して MkM_k をどれだけ大きく示せるか——もはや素数の影も形もない、変分法の問題にかかっている。

Mk=sup⁡F∈Sk∑m=1kJk(m)(F)Ik(F),rk=⌈θMk2⌉M_k=\sup_{F\in\mathcal{S}_k}\frac{\sum_{m=1}^{k} J_k^{(m)}(F)}{I_k(F)},\qquad r_k=\Big\lceil\frac{\theta M_k}{2}\Big\rceil
詳しい解説

固定した分布のレベル θ>0\theta>0 と小さな δ>0\delta>0 に対し、Maynard は Mk=sup⁡F∈Sk(∑m=1kJk(m)(F))/Ik(F)M_k=\sup_{F\in\mathcal{S}_k}\big(\sum_{m=1}^k J_k^{(m)}(F)\big)/I_k(F) を定義する。上限は適切な滑らかな関数 FF からなるクラス Sk\mathcal{S}_k 全体にわたって取られる(Maynard 2013年、第4節、命題4.2)。ステップ2のカウント和 S=S2−ρS1S=S_2-\rho S_1 において ρ=θMk/2−ϵ\rho=\theta M_k/2-\epsilon とおくと、ステップ4の漸近式を用いた簡単な計算から、すべての大きな NN に対して S>0S>0 であることが分かる。したがって、ステップ2の論理により、無限に多くの nn に対して n+h1,…,n+hkn+h_1,\dots,n+h_k のうち少なくとも rk=⌈θMk/2⌉r_k=\lceil \theta M_k/2\rceil 個が素数となる。

これが Maynard の命題4.2 であり、方法全体の核心である:長さ kk の許容的な H\mathcal{H} の中でサイズ rkr_k の有界な素数ギャップは、その kk に対して比 (∑mJk(m)(F))/Ik(F)\big(\sum_m J_k^{(m)}(F)\big)/I_k(F) を十分大きくするような滑らかな FF を一つ示しさえすれば自動的に従う。特に rk≥2r_k\ge2(kk 個のシフトのうち2個以上が素数)は、それを実現する許容的な kk 組の直径そのものとして、lim inf⁡n(pn+1−pn)\liminf_n(p_{n+1}-p_n) の上界を直ちに与える。

こうして解析的整数論の問題全体は、適切な kk に対して十分良い FF を見つけよ、という問題に変換された。次のステップはまさにそれを、明示的な試験関数と数値的最適化によって与える。

このステップの用語
変分問題
単一の最適な数を求めるのではなく、そこから作られるある量(ここでは比 ∑mJk(m)(F)/Ik(F)\sum_m J_k^{(m)}(F)/I_k(F))を最大化または最小化する関数(ここでは kk 変数の FF)を求める問題。