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解法: テイラー・ワイルズ法によるワイルズのモジュラー性証明(1994年)

ステップ 1/11: フェルマーの最終定理の主張と素数指数 p≥5p \ge 5 への帰着
ざっくり言うと

2乗の場合、32+42=523^2 + 4^2 = 5^2 のようにピタゴラス数として知られる整数解が無数に存在する。フェルマーは1637年、指数が 3,4,53, 4, 5 以上になった瞬間に正の整数解は一つも存在しなくなると主張した。

無数の指数を一つずつ調べる代わりに、単純なべき乗の括り直しによって、合成数指数の反例があれば自動的に n=4n = 4 または奇素数 pp の反例が作れることがわかる。フェルマー自身が n=4n = 4 を、レオンハルト・オイラーが p=3p = 3 を解決したため、350年にわたる問題全体は奇素数 p≥5p \ge 5 の場合に帰着される。

xn+yn=zn  (n≥3)  ⟺  ap+bp=cp  (p≥5 prime, gcd⁡(a,b,c)=1)x^n + y^n = z^n \; (n \ge 3) \iff a^p + b^p = c^p \; (p \ge 5 \text{ prime},\, \gcd(a,b,c)=1)
詳しい解説

フェルマーの最終定理(FLT)は、すべての整数 n>2n > 2 に対して xn+yn=znx^n + y^n = z^n を満たす非零整数 x,y,zx, y, z は存在しないと主張する。ワイルズの序文(Wiles 1995, p. 443)に記され、Qiu et al. (2025, 3.1.1節, 定理3.1)で整理されているように、指数が n=4n = 4 または奇素数 p≥5p \ge 5 であり、かつ3つの整数が互いに素である場合について証明すれば十分である。

なぜこの帰着が成り立つのか。任意の整数 n>2n > 2 は 22 のべき乗であるか(したがって 44 が nn を割り切り n=4mn = 4m と書ける)、少なくとも一つの奇素数 pp で割り切れる(n=pmn = pm と書ける)。もし xn+yn=znx^n + y^n = z^n ならば、前者の場合は (xm)4+(ym)4=(zm)4(x^m)^4 + (y^m)^4 = (z^m)^4 が指数 44 の解となり、後者の場合は (xm)p+(ym)p=(zm)p(x^m)^p + (y^m)^p = (z^m)^p が奇素数 pp の解となる。フェルマーは1667年頃に無限降下法によって n=4n = 4 の場合を証明し、オイラーは1753年から1770年にかけて p=3p = 3 を証明した(のちにルジャンドルがギャップを埋めた。Qiu et al. 2025, 2.1節を参照)。さらに、a,b,ca, b, c のうち2つが素因数 qq を共有すれば qpq^p は残りの1つも割り切るため、gcd⁡(a,b,c)p\gcd(a, b, c)^p で割ることで a,b,ca, b, c が対ごとに互いに素であると仮定できる。

この帰着により現代の証明の舞台が整う。背理法のため、ある素数 p≥5p \ge 5 と対ごとに互いに素な非零整数 a,b,ca, b, c で ap+bp=cpa^p + b^p = c^p を満たすものが存在すると仮定し、次のステップでこの仮想的な三つ組から幾何学的対象を構成する。

このステップの用語
対ごとに互いに素な整数
整数 a,b,ca, b, c のどの2つも共通の素因数を持たないとき(gcd⁡(a,b)=gcd⁡(b,c)=gcd⁡(a,c)=1\gcd(a,b) = \gcd(b,c) = \gcd(a,c) = 1)、対ごとに互いに素という。ap+bp=cpa^p + b^p = c^p において2つの項が共有する素因数は自動的に3つ目の項も割り切るため、公約数を割り尽くせば常に対ごとに互いに素な三つ組が得られる。
無限降下法
フェルマーが考案した証明手法で、正の整数解が存在すると仮定してそれより真に小さい正の整数解を構成する。正の整数は無限に小さくなり続けられないため、そもそも解は存在しないと結論できる。
このステップで使う知識