解法: テイラー・ワイルズ法によるワイルズのモジュラー性証明(1994年)
ざっくり言うと
楕円曲線とは3次方程式 で表される滑らかな平面曲線であり、曲線上の2点を足し合わせる幾何学的な規則を備えている。曲線上の2点を通る直線を引き、曲線との3つ目の交点を求め、それを 軸に関して折り返すのである。この規則により曲線上の点は代数的な群をなす。
1984〜1985年、ゲルハルト・フライは大胆な着想を得た。もし反例 が与えられたなら、3つの数 を右辺の3次式の3つの根として使えばよい。フェルマーの方程式に解があるなら、この特別な楕円曲線が 上の幾何学的対象として実在しなければならない。
詳しい解説
上の楕円曲線 とは、右辺の3次式が相異なる3つの複素根を持つ3次方程式 () の有理数解 の全体に、弦と接線による加法則の単位元として働く無限遠点 を付け加えたものである(Qiu et al. 2025, 3.3.1節, 定義3.1)。
背理法のため、素数 と対ごとに互いに素な非零整数 に対して がFLTの反例を与えると仮定する。イヴ・エルグアルシュ(1969年)の先駆的な構成に続き、ゲルハルト・フライ(1985/1986年)はこの仮想的な解に楕円曲線 を対応させた(Wiles 1995, 序文, p. 443 および p. 448; Qiu et al. 2025, 3.1.2節)。 は非零であり だから、3つの根 , , はすべて異なり、 は 上の非特異な楕円曲線となる。
フライの洞察は、等式 が の幾何学の中に埋め込まれているという点にあった。3つの根の差は , , そして となり、どれ一つとっても完全な 乗数になっている。次のステップでは、これがどれほど異常なことかを定量化する。
- 上の楕円曲線
- 有理数係数を持ち重根のない3次方程式 と無限遠点 で定義される滑らかな射影曲線。その上の点は弦と接線による加法のもとでアーベル群をなす。
- フライ曲線(エルグアルシュ・フライ曲線)
- フェルマーの仮想的な反例 から作られる楕円曲線 。この曲線は反例が存在するとき、またそのときに限り存在する。