解法: テイラー・ワイルズ法によるワイルズのモジュラー性証明(1994年)
もしフライ曲線 がモジュラーであれば、重さ ・レベル の尖点形式に対応するはずである。ところが判別式 はすべての奇素数因子 において完全な 乗であるため、曲線の mod の算術は において不自然なほど滑らかになっている。
ジャン=ピエール・セールが予想し( 予想、1985年)、ケン・リベが1986年夏に証明(1990年出版)したところによれば、モジュラー形式の mod の影を変えずに、そのような素因数 をレベル から1つずつ剥がし取ることができる。 の奇素数因子をすべて剥がし取るとレベルは まで下がり、レベル ・重さ の非零な尖点形式が存在しなければならなくなるが、空間 は完全に空であることが知られている。
1985年、ジャン=ピエール・セールはフライ曲線と谷山・志村・ヴェイユ予想を結ぶ正確な仕組みを 予想として定式化し、ケン・リベが1986年夏にこれを証明した(Ribet, Inventiones Mathematicae 100, 1990; Wiles 1995, p. 443 および p. 448; Qiu et al. 2025, 2.2節および3.2.3節)。
リベのレベル降下定理によれば、 が平方因子を持たないレベル ・重さ の固有形式であり、その mod- ガロア表現 が奇素数 において既約かつ不分岐(有限平坦)であるならば、レベル ・重さ の別の固有形式 が存在してその mod- 表現が と同型になる( のときはメイザーの定理を併用する。Qiu et al. 2025, 3.2.3節を参照)。 に対するフライ曲線 では、極小判別式におけるすべての奇素数 の指数が の倍数であるため、 はすべての奇素数 で有限平坦となる。リベの定理を繰り返し適用すると からすべての奇素数が取り除かれ、レベル ・重さ の固有形式 が残る。
モジュラー曲線 上の古典的な次元計算により、レベル ・重さ の尖点形式の空間 の次元は である。ゆえに はモジュラーではあり得ない。 は半安定であるから(ステップ3)、リベの定理によってフェルマーの最終定理は楕円曲線に関するただ1つの命題 — 上のすべての半安定楕円曲線がモジュラーであることを証明せよ(Wiles 1995, 定理0.4 定理0.5, p. 448) — に帰着された。
- セールの 予想(リベの定理)
- 重さ ・レベル のモジュラー形式の mod- ガロア表現が素数 で不分岐ならば、レベルを から へ下げられることを示すケン・リベの定理(1986年証明、1990年出版)。フライ曲線に適用するとレベルが まで下がり、そこには重さ の尖点形式が存在しない。